楽市のアパートメント

 計画地である福岡県飯塚市内に点在する共同住宅・長屋は、建築を大きな1つのヴォリュームにまとめ、余った敷地部分を住民の共有空間として確保する計画が多く見られる。

 建物先行の計画によって敷地の余白に追いやられて配置された外部共有空間は、完成後には閑散としている現状があり、常に使われている空間とは言い難い問題がある。

 

 本共同住宅は小道感のフレーズをコンセプトとし、要望であった10世帯の木造メゾネット型共同住宅の設計を行い、大きな1つの建築とするのではなく、ヴォリュームの細分化を繰り返し行った。

住戸は居室や水廻りからなる白のヴォリューム2つと、ダイニングや吹抜などを含ませた黒のヴォリューム1つの組み合わせから構成される。黒のヴォリュームについては地窓とハイサイドライトが設けられており、限られた敷地の中で採光、通風を確保している。

 

 細分化された白と黒のヴォリュームを変形敷地の中で敷地境界線に沿うように建物に角度をつけて配置し、建物のあいだに生じる外部空間を通路、中庭、ポーチ(上部バルコニー)として扱う。

通路は建物との距離感を伸縮させながら住戸群を接続し、歩みを進めるたびに接続されていく外部共有空間により視覚的変化を与える。

 

 居住者たちが私的と公的の境界を超えて空間を緩やかに共有していく風景が敷地内に拡がり、居住者たちの活動の連鎖によって彩りをつけられた外部空間が展開されることを期待している。

 

敷地  福岡県飯塚市

構造  木造 2階建

用途  共同住宅

施工  株式会社 春田建設

photo     Kouji Okamoto ( Techni Staff )

竣工  2019.07

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